1972年、サンクトペテルブルクの音楽一家に生まれたアルカディ・ヴォロドスは、幼い頃から指揮と歌を学び、15歳でピアノに全力を傾けるようになった。モスクワやパリ、マドリードでの研さんを経て演奏活動を開始した後は、ソリストとして世界屈指のオーケストラと共演を重ね、一流の会場でリサイタルを行っている。彼の数々の録音作品には実に多様な表現スタイルが見て取れるが、カタルーニャ出身の作曲家フェデリコ・モンポウを取り上げ、ヴォロドスの代表作の一つとなった本作でも、その新鮮で個性的なアプローチが輝きを放っている。モンポウの静かで繊細な小品は決して目立った存在ではないが、その中には優れた楽曲が多くある。このような不運にもあまり広く知られていないピアノ曲に光を当てるヴォロドスの姿勢も高く評価されており、2013年にリリースされたこのアルバムは翌年にグラモフォン賞を受賞した。
作曲者
ピアノ