中国の伝統的な音楽語法をクラシック音楽のスタイルの中で輝かせ、日本やヨーロッパでも高い評価を受けた。1910年に日本統治下の台湾で生まれた江 文也は、幼い頃アモイに移り、13歳で日本に留学。並外れた音楽の才能を発揮すると、日本オペラ界のスター歌手だった藤原義江らに認められ、歌手としてキャリアをスタートさせる。また、山田耕筰や橋本國彦の下で作曲を学び、特に橋本から大きな影響を受けた。そして、1936年、ピアノと管弦楽のための作品「台湾舞曲(Formosan Dance)」をベルリンオリンピック芸術競技の音楽部門に出品すると、見事にメダルを獲得。アジアの作曲家の高い実力を世界に示した。第2次世界大戦中には日本のプロパガンダ映画で音楽監督を務め、1938年に日本軍の指令を受けて北京師範大学の教授となる。江は戦後も中国にとどまるが、売国奴のレッテルを貼られ、文化大革命のさなかには迫害を受けた。しかし、文化大革命が集結したことを受け、生前の1978年には名誉が回復されている。このプレイリストではオーケストラのための作品や、フランス印象派を思わせる魅惑的なピアノを楽しむことができる。