交響曲第8番 ハ短調

WAB 108

『交響曲第7番』は、長い間冷遇されてきたブルックナーの交響曲の中で初めて、初演で大成功を収めた。しかし、これを受けて作曲家は内向的になり、自分の中の悪魔と戦うようになる。『交響曲第8番』のオープニングテーマは、『第7番』の冒頭にある穏やかなビジョンとはかけ離れた、何かに探りを入れるような神経質な雰囲気をまとっている。ここから始まっていく説得力のある第1楽章の終盤にはまぎれもない死の予告があり、楽章の最後はまるで消えゆく鼓動のように幕を閉じる。続く第2楽章のスケルツォは、スリリングで輝くようなオーケストラの響きと、物語性を感じさせる展開が印象的な楽曲となっている。長大で、いつになくパーソナルな雰囲気を漂わせる第3楽章は、非常に優美でありながら、同時に満たされない思慕も感じさせる。この楽章は、穏やかさの中で模索を続け、短いながらも光に満ちたまばゆいばかりのクライマックスに達するが、最後はまたも消え入るように終わっていく。壮大な終楽章は、トランペットのファンファーレやティンパニの連打とともに力強くかつ華々しくスタートする。この楽章の最大の聴きどころはコーダであり、ここではさまざまな楽器によって奏でられる全楽章の主題が重なり合い、楽曲は最高潮に達する。ブルックナーはこの部分に“ハレルヤ!”と記している。暗闇と絶望に対する希望の光の勝利を表現したこの交響曲は、ブルックナーの信仰告白に他ならない。

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