版画

L. 100、CD108

1903年に完成した『Estampes(版画)』は、ドビュッシーのピアノ曲の中で初めて、豊かな色彩感覚と対象が醸し出す雰囲気の世界を追求する、“印象主義”と呼ばれる表現と関連付けられた作品だ。3曲から成るこの組曲の1曲目と2曲目は、ドビュッシーがイメージするエキゾチックな土地へとリスナーをいざなう。第1曲の「Pagodes(塔)」はアジアの伝統音楽の特徴である五音音階で紡がれる極東のポートレートであり、ここにはドビュッシーが1889年のパリ万国博覧会で聴いたインドネシアのガムランからの影響が表れているとされる。続く「Soirée dans Grenade(グラナダの夕べ)」は、ハバネラのリズムをベースに、スパニッシュギターやフラメンコのカンテといったアンダルシアの街を暗示するフレーズも盛り込んで、独特のムードを描き出している。3曲目の「Jardins sous la pluie(雨の庭)」は、突然降り出してすぐに去っていく雨を表現したトッカータであり、最後には華麗な演奏が再び太陽の光が降り注いできたことを伝えてくれる。

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