
- エディターのおすすめ
- 2002、3トラック、28分
ピアノ協奏曲 イ短調
Op. 16
エドヴァルド・グリーグの『ピアノ協奏曲』(1868年)は、長きにわたって、同ジャンルの楽曲の中で最も人気が高い作品の一つであり続けている。そしてこのコンチェルトは、それまで母国ノルウェー以外ではほとんど知られていなかった若き作曲家グリーグの名前を国際的に知らしめる役割も果たした。この作品は1869年の4月3日に、コペンハーゲンでエドムント・ノイペルトの独奏で初演されて好評を博し、その後10年のうちにヨーロッパやアメリカなどの各地で繰り返し演奏された。グリーグ自身もこの曲をよく演奏し、オーケストレーションに多くの改訂を加えている。第1楽章は同じ調性を持つシューマンのピアノ協奏曲の例に倣い、瞬時にしてリスナーの注意を引き付ける威厳に満ちたフレーズで始まる。芯の強さを感じさせるような第1主題の後には、全く違う雰囲気の伸びやかに歌うような第2主題が現れるのだが、思いにふけるような展開部の主役は第1主題であり、その後、ドラマチックなカデンツァを経て、楽章の終わりには冒頭のくだりが再現される。続く緩徐楽章の冒頭では郷愁を漂わせる美しい主題が弦楽器によって奏でられる。これを受け継いだピアノがそこに繊細な装飾を施していき、音楽は徐々に熱を帯びていく。そして再び静けさを取り戻すこの楽章に続いて切れ目なく始まる終楽章では、南ノルウェーの民族舞踊の影響を受けたリズミカルなスコアが、ピアノとオーケストラのインタープレイによって力強く表現される。一転して叙情的な第2主題はフルートによって奏でられ、続いてそのテーマがピアノによってより繊細に紡がれていく。その後に現われるピアノによる第1主題の再現は、オーケストラの強烈な一撃に見舞われ、そして最後にはピアノとオーケストラの荘厳な協奏による第2主題が、この名作の幕切れを堂々と飾るのである。