- エディターのおすすめ
- 2014、12トラック、30分
12のエチュード
Op. 25
1833年から出版年である1837年の間に書かれたと考えられているフレデリック・ショパンの『12の練習曲 Op. 25』は、自身の『12の練習曲 Op. 10』の成果をさらに発展させたものであるといえる。それぞれのエチュードは、しばしば繰り返される象徴的なパターンに含まれる、ある一つの技術的な課題に基づいて構築されている。それは、例えば、「第4番」や「第9番」に見られるスタッカートのアーティキュレーションであり、「第6番」の3度重音、「第8番」の6度重音、「第10番」のオクターブ、「第12番」のアルペジオなどである。「エオリアン・ハープ」というニックネームで知られる「第1番」では、風に共鳴する弦の響きを思わせるようなアルペジオの上で旋律を奏でる。「第2番」の課題はクロスリズムであり、「第3番」では、進化していく特徴的なリズムの中でどのようにアーティキュレーションを付けるかがポイントとなる。小さな音詩ともいうべき「第5番」の中間部では、左手が奏でるメロディに右手の繊細な装飾が加わる。また、その左手の旋律は、この曲集の唯一の緩徐楽章であり、豊かな表情を持つ「第7番」の基礎にもなっている。「木枯らし」という愛称でおなじみの「第11番」では、行進曲のような左手の主題が、鍵盤の上を席巻する右手が奏でる印象的なパッセージワークを支える。「第12番」は、『Op. 10』の「第1番」をほうふつさせるが、ここではアルペジオを両手で奏でなければいけない。