ヴァイオリン協奏曲 ニ短調

Op. 47

1891年、20代半ばになったシベリウスは、ヴァイオリニストになるという希望がかなわないことを悟るに至る。このジャンルにおける最高傑作の一つである彼の『ヴァイオリン協奏曲』は、その夢とのつらい別れを象徴する作品でもあった。1904年に完成した初稿はヴァイオリニストに手に負えないほどの技術的困難を強いるものであり、不運なソリストによる初演は惨憺(さんたん)たる結果に終わる。これを受けてシベリウスはこの作品をいったん取り下げ、構成を引き締めて、現在私たちが知っている名曲を作り上げた。第1楽章の「アレグロ・モデラート」は、オーケストラのヴァイオリンセクションによるきらめくようなテクスチャで始まり、それを背景にソリストがロングスパンの思い詰めたような旋律を奏でる。ソリストがこのパラグラフを終えると、ついにオーケストラが主張し始める。やがてソリストは一見和らいだ雰囲気の中で再び登場し、熱烈なデュエットのような重音のパッセージを花開かせる。その後やや不機嫌な雰囲気のオーケストラのパッセージが、嵐の中の小休止へと導いていく。続くソロイストの熱のこもったカデンツァは、事実上の独白だ。そしてオーケストラが再び加わり、主要な主題がまたしてもやや不機嫌な雰囲気の中で再現された後、この楽章は傲慢(ごうまん)ともいうべきムードで幕を閉じる。これとは対照的に、緩徐楽章は優しくくつろいだ雰囲気にあふれており、ソリストは根底にあるメランコリーを感じながらも、りりしくほほ笑んでいるようにも見える。楽章の途中では、つかの間、ソリストがありのままの悲しみを表すが、最後には再びその気持ちを抑えて、希望に満ちた雰囲気を醸し出す。ブラームスの『ヴァイオリン協奏曲』を思わせる舞曲的なフィナーレは、どこかごつごつとしていて無愛想な曲調でありながら、同時に爽快さも届けてくれる。

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