- エディターのおすすめ
- 2015、2トラック、8分
トッカータとフーガ ニ短調
BWV565
『トッカータとフーガ ニ短調BWV565』の壮麗なオープニングのフレーズは、すべてのオルガン曲の中で最も印象的かつ広く知られるものの一つだ。その一方で、この作品が元々オルガンのために書かれたものであったのか、そして、そもそも本当にバッハが書いた曲なのかということについては、研究者の間でも意見が分かれる。ある者は、さまざまな装飾の仮面の下に原曲であるヴァイオリン曲が隠れているのではないかと疑い、またある者は、この曲がバッハらしからぬ特徴を備えていることの理由を、おそらくまだ20歳前の、頑固で芸術的野心にあふれた作曲家の“若さ”に求めることで、納得しようとしている。『BWV565』の前奏は、「ドリア調」という愛称でも知られる『トッカータとフーガ ニ短調BWV538』とは異なり、対位法を避け、意味深長な小休止を効果的に使いながら大胆な修辞学的表現を早々に繰り出すという、即興的なアプローチに重点を置いている。そのような奔放な振る舞いに比べて、後に続くフーガはその定義の範囲内で展開される。とはいえここでも、対位法による熱を帯びた表現が、息の長いトリルやエコー効果、ペダルによるフレーズなどと共に、派手な音世界を描き出す。そしてその熱がピークに達するのは、トッカータ部分を思わせる嵐のようなサウンドを一心不乱に構築しようとしているかのような終結部である。