『ハリー・ポッターと賢者の石』

J.K.ローリングのベストセラーをクリス・コロンバス監督が映画化した『ハリー・ポッターと賢者の石』の音楽の作曲は、まず、『タイタニック』のサウンドトラックなどで知られるジェームズ・ホーナーにオファーされたが、彼が断ったため、ジョン・ウィリアムズが手掛けることになった。そして、ウィリアムズはこの映画のために、彼が最も得意とする、格別にロマンチックで、世界中のオーディエンスにアピールする普遍的な魅力を持つ音楽を生み出したのだ。ミステリアスな趣を醸し出すチェレスタとストリングスによって奏でられるダークで魅惑的な「ヘドウィグのテーマ」を聴けば分かる通り、ここではオーケストラのきらめくような響きが、物語の重要な要素である魔法を象徴している。このメインテーマの他にも、同サウンドトラックにおいては、オペラや交響詩でしばしば使われる、特定の登場人物や事象などと結び付けられた動機“ライトモチーフ”が多く用意されていることが特徴の一つとなっている。また、この映画の楽曲は、善と悪の戦いを描く映画のためにジョン・ウィリアムズ自身が書いた音楽にインスパイアされており、例えば、「Harry’s Wondrous World」のストリングスは『E.T.』や『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』を、「The Chess Game」は『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』を思わせ、『インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》』をほうふつさせる部分もある。『ハリー・ポッター』シリーズでウィリアムズが音楽を担当したのは3作目までだが、それ以降のサウンドトラックを手掛けたパトリック・ドイル、ニコラス・フーパー、アレクサンドル・デスプラといった作曲家たちも、世界中の多くの人々がほんの一瞬聴いただけでもそれと分かるほどに広く親しまれている「ヘドウィグのテーマ」を、大切に受け継いでいる。

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