希望の扉
アンビエントでいながらリスナーに生気を与える力を持つルドヴィコ・エイナウディの音楽は、2006年の『Divenire』で多くの人に知られることとなった。ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団と共演したこのアルバムでは、エイナウディがピアノで奏でるメロディのシンプルさと緩やかなリズムの反復が、この楽器によって表現される現代的なエレガンスを象徴している。また、ミニマリズム、ポップのイディオム、そして、かすかなバロック風味を巧みに融合させたこのアルバムの楽曲は、メランコリーを漂わせながらも、いたずらに感傷におぼれることはなく、絶妙なバランスを保っている。知性的な要素を強調し過ぎることもない。エイナウディは、小さなアイデアから始めて、そこにシンプルなハーモニーと控えめなエレクトロニクスを重ねることで、自由で、リラクシングで、心に響く音楽を作り上げているのだ。彼は、このアルバムの収録曲をメインにしたイギリスツアーを行って好評を博し、自身の音楽の魅力を広く知らしめた。また、収録曲の一つである「Primavera」は、スティーヴン・ダルドリー監督の名作映画『愛を読むひと』に使われ、話題を呼んだ。
