子供の情景

Op. 15

クラシック音楽の世界における子どもをテーマにした音楽は、大きく2種類に分けることができる。一つは、ロベルト・シューマンが3人の娘たちのために書いた43曲の魅力的な小品から成る『Album für die Jugend(子どものためのアルバム)』(1848年)のように、実際に子どもが弾くために書かれたものであり、もう一つは、ビゼーの『Jeux d’enfants(子どもの遊び)』(1871年)やシューマンの『Kinderszenen(子どもの情景)』(1838年)のように、子どもをテーマにしながらも、より熟達した演奏者が弾くことを想定して作曲されたものだ。『子どもの情景』は13の楽しい小品のコレクションであり、全体的に無垢(むく)な雰囲気を醸し出しているが、技術的な要求はしばしば非常に高いものとなっている。ロベルトが、愛するクララ・ヴィーク(1840年にロベルトと結婚し、クララ・シューマンとなった)に宛てた手紙には、彼が、突如として沸き上がったインスピレーションによって30曲を一気に書き上げ、その中から選んだ曲でこの組曲を構成したことが記されている。ちなみに選に漏れた曲は、後に『Bunte Blätter(色とりどりの小品)』や『Albumblätter(アルバムの綴り)』に収録されて出版された。『子どもの情景』には、「Hasche-Mann(鬼ごっこ)」や「Ritter vom Steckenpferd(木馬の騎士)」といった高揚感あふれる曲や、「Am Kamin(暖炉のそばで)」のような温かみのある曲まで、さまざまな楽曲が収録されているが、とりわけ広く親しまれているのは「Träumerei(トロイメライ)」である。

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