優れたオルガン奏者だったブルックナーは38歳の時にワーグナーのオペラ『Tannhäuser(タンホイザー)』を初めて聴き、作曲に人生をささげることを決意した。オーストリア北部、リンツの郊外の村で生まれ育ち、控えめで信心深い人物だったブルックナーは、ワーグナーの音楽に対して畏敬の念を抱いたのだ。『交響曲 第7番 ホ長調』の「Adagio」は、ワーグナーが病気で亡くなる間際にこの偉大な先達への賛辞として作曲されたものであり、ブルックナーはここで、交響曲史上初めてワーグナーチューバを使用した。本作に収録されたアンドリス・ネルソンスとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるライブ演奏は、この重厚な作品に新鮮な響きと高揚感を与えるものとなっている。またワーグナーの楽劇『神々の黄昏』の第3幕に登場する「ジークフリートの葬送行進曲」でのネルソンスとオーケストラは、繊細な詩情と力強い感情表現を見事に両立させている。
作曲者
オーケストラ
指揮者