

サイモン・ラトルは過去にマーラーの「大地の歌」を、原典と同じくテノールとバリトンの独唱で録音したことがある。今回のバイエルン放送交響楽団とのセッションにおいては、より華やかで人気の高いメゾソプラノとテノールを独唱者として迎え、それが功を奏すこととなった。テノールのスチュアート・スケルトンは力強くしなやかで、甘く繊細であり、マクダレナ・コジェナーは情緒的ながらも活力にあふれており、抜群の歌唱力を披露している。そしてマーラーの音楽を真に継承していく指揮者の一人であるラトルは、ここでもその真骨頂を惜しみなく発揮。オーケストラを完全にコントロールし、深く内省的な音楽を丁寧に描き出している。バイエルン放送交響楽団は、これまでマーラーの作品を数多く演奏してきたオーケストラであり、新たな名演の誕生となった。
2018年8月24日 6トラック、1時間 4分 ℗ 2018 BR-Klassik