スイス出身のエマニュエル・パユは、30年間にわたってベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者を務めながらソロアーティストとしての演奏活動やレコーディングでも大きな成功を収めるという、クラシック界のほとんどの器楽奏者がたどり着けないハイレベルなキャリアを築いてきた。また多忙な日々を送りながらも、エリオット・カーターやMarc-André Dalbavieなどの作曲家と組んでフルートのレパートリーを広げるための活動も行っている。2019年リリースの本作『Dreamtime』では、ポーランドの作曲家ペンデレツキが、偉大なフルート奏者でありパウが敬愛するジャン=ピエール・ランパルのために1992年に作曲したミステリアスなフルート協奏曲に挑戦し、並外れたテクニックと表現力を披露している。対照的に、ライネッケが1908年に書いたコンチェルトはロマン派らしい優美さにあふれた作品で、パユのフルートも歌心たっぷりに奏でられる。武満徹による「I Hear the Water Dreaming」はこのアルバムにさらなる多彩さを加えており、プログラムのラストに配置されているにもかかわらず、新たな物語の始まりを予感させる。