スコットランド出身のニコラ・ベネデッティは、高度なテクニックを要し、かつ長大なスケールを持つエルガーのコンチェルトの優れた演奏を録音した、数少ないバイオリニストの一人となった。本作でベネデッティがパートナーを組んだオーケストラは、かつて英国のバイオリニスト、ナイジェル・ケネディとのネオクラシカルなバージョンでもこの大作を奏でたロンドン・フィルハーモニー管弦楽団。そして指揮者は、スコアの隅々にまで細心の注意を行き届かせながらも、このコンチェルトの巨大なパノラマのような存在感を表現できるロンドン・フィルの首席指揮者ウラディーミル・ユロフスキだ。ベネデッティの演奏は要所要所で重厚で濃密な瞬間を描き出し、また必要とあらば鳥たちの美しいさえずりのように軽やかにメロディを歌い上げる。このアルバムは彼女が成熟し、いよいよ卓越した演奏家として大輪の花を咲かせたことを世に知らしめる作品だといえるだろう。協奏曲の後に収録された3つの小品もそれぞれに輝きを見せている。
作曲者
オーケストラ
ヴァイオリン
指揮者
ピアノ