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- 2009 · ウラディーミル・ユロフスキ、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ウラディーミル・ユロフスキ
バイオグラフィー
ロシア出身の指揮者ウラディーミル・ユロフスキが、キャリアの初期において、指揮者としての、そしてオーケストラの指導者としての卓越した能力を発揮する舞台となったのは、アイルランドとイングランドだった。彼の解釈は、オペラにおいても交響曲においても、決して予想を大きく裏切るものではないが、常に新鮮な視点で作品を見つめ直したものであり、そのフレキシブルなテンポに対するオーケストラの優れた反応も特徴の一つとなっている。 1972年にモスクワで生まれたユロフスキは、モスクワ音楽院で学んだが、彼に最も大きな影響を与えた体験が、ツアーでやってきた西ドイツのいくつかのオーケストラが奏でる、シュトックハウゼン、リーム、ヘンツェ、ツィンマーマンといった作曲家による前衛的な作品を聴いたことであり、その時に受けたカルチャーショックであったことは間違いない。彼はその後、家族で移り住んだドイツで、さらなる音楽教育を受けることができた。1995年にアイルランドのウェックスフォード・オペラ・フェスティバルでリムスキー=コルサコフの『五月の夜』を指揮して好評を博すと、同年、23歳にしてロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスに、ヴェルディの『ナブッコ』を指揮してデビューを飾った。その後は、2001年から2013年にかけてグラインドボーン音楽祭の音楽監督を務める一方、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とも長く良好な関係を築いていき、2003年には同楽団の首席客員指揮者に就任。2006年から2021年にかけては首席指揮者を務めた。録音に関しても、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とのベートーヴェンや、ベルリン放送交響楽団とのリヒャルト・シュトラウスといったものもあるが、ほとんどはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したものだ。レコーディングのレパートリーはロシア音楽を中心に、19世紀から20世紀のドイツ、オーストリア、イギリスなどの作曲家によるスタンダードな作品が多いが、イギリスの作曲家Julian Andersonの作品によるアルバムや、ロシアの作曲家ウラディーミル・マルティノフの作品『Utopia』の世界初録音など、現代の作曲家による作品も取り上げている。