モスクワの由緒ある音楽一家に生まれたウラディーミル・ユロフスキは、オペラと交響曲の指揮で目覚ましい成果を上げてきた。また、現在の拠点であるドイツでも学んだ彼は、母国ロシアの音楽のみならず、ベートーヴェン、ブラームス、リヒャルト・シュトラウスといった作曲家たちの作品にも造詣が深い。 そんなユロフスキは、2006年から2021年にかけてロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、2017年からはベルリン放送交響楽団の首席指揮者を務め、両オーケストの一体感や音の輝きを際立って高いレベルにまで引き上げた。このプレイリストでは、ベルリン放送交響楽団を率いたマーラーの『大地の歌』やロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したツェムリンスキーの『6つの歌 Op. 13』などで、歌手たちとの深い共感に基づくコラボレーションも聴ける。 さらに、ロシア・ナショナル管弦楽団と共におしみなく名人芸を披露するチャイコフスキーの『組曲第3番 Op. 55』の「Scherzo」や、あまり広く知られていないレパートリーとしては、出だしは優美なものの次第に前衛的で激しい展開を見せるシュニトケの『交響曲第3番』の「Allegro」なども含まれている。