2020年にパンデミックが始まった頃、米国の作曲家Richard Danielpourはシモーヌ・ディナースタインが奏でるバッハを聴いて安らぎを得ていた。その時、彼はディナースタインのために曲を書き、アルバム制作を思い立ったのだ。本作『An American Mosaic』は15の力強いピアノ小品からなり、それら一曲一曲が新型コロナウイルスにさいなまれるアメリカの人々に捧げられている。深いメッセージ性を含むDanielpourの音楽は、心の支えとなる聖職者たち、必死の思いで子供たちに自宅で勉強を教える親、冷静かつ献身的に仕事をする医療従事者といった人たちの姿を想起させるものだ。これらの独創性にあふれ、時に遊び心さえも感じられる楽曲の間には、ところどころに「Consolations(慰め)」と題された曲が配置されており、リスナーに一息ついて思いを巡らせる時間を与えてくれる。アルバムの最後にはDanielpourによるバッハ作品の編曲版を収録。この3曲はディナースタインならではの気迫に満ちた演奏と繊細な表現を生かすべく書かれた、感動的な音楽の捧げものだ。