

マーラーの『交響曲第7番』は、彼の10ある交響曲の中で聴衆の聴きごたえ、指揮者にとってのやりがいにおいて最高の作品だろう。挿話的な書法、対照的な構成を用いた作風など、この交響曲の全貌をつかむために、多くの人は長い時間を費やしてきた。しかしロシアの指揮者Kirill Petrenkoは、バイエルン国立歌劇場管弦楽団から素晴らしいアンサンブルを引き出し作品を浮き彫りにする。音楽を均質化せず作品が内包する豊かさや広がりをたたえるなど、その手腕たるや目を見張るもの。ベルリン・フィルが首席指揮者としてPetrenkoを指名したのもうなずける(2019年就任)。Petrenkoは最初の一音から、この作品がマーラーの最も優れた交響曲の一つとの確信へつなげ、複雑な物語を完璧に理解し愛情深く演奏を届ける。
2021年5月28日 5トラック、1時間 12分 ℗ 2021 Bayerische Staatsoper Recordings