楽四重奏曲の2つの傑作を核にしながら、イマジネーション豊かにプログラムされたこのアルバムは、Castalian String Quartetの傑作と言える。16世紀の終盤に書かれたオルランド・ディ・ラッソの心に染みる名曲「La nuict froide et sombre(冷たく暗い夜)」は清らかな唯一無二の音色で奏でられ、ベートーヴェン後期の作品で死生観について掘り下げる長大かつ先鋭的な『String Quartet No. 15 in A Minor』への先導役を務める。ここでは作品に秘められた苦悩と希望に共感したCastalianのメンバーが魂のこもった演奏で聴かせる。トマス・アデスによる2011年の作品『The Four Quarters』は、一日の時の流れをたどる楽曲で、時間から逃れようとする第4楽章の「The Twenty-fifth Hour」は、ベートーヴェンの『No. 15』と呼応するかのようだ。そしてアルバムは、ラッソと同じ時代を生きたジョン・ダウランドによる、深い眠りあるいは死を懇願する切なくも美しい楽曲「Come, Heavy Sleep」で幕を閉じる。