- エディターのおすすめ
- 21世紀のクラシック界をリードする、イギリスの才気あふれる作曲家/演奏家。
トーマス・アデス
バイオグラフィー
1971年、ロンドンの芸術一家に生まれたトーマス・アデスは、1993年にサウスバンク・センターのパーセル・ルームで初のピアノリサイタルを開き、それ以降、作曲家、ピアニスト、指揮者として国際的なキャリアを築き上げている。彼の作品は、Tennessee Williams(『欲望という名の電車』で知られる20世紀アメリカの作家)の詩に曲を付けた歌曲「Life Story」(1994年)や、万華鏡のような輝きを放つソロピアノのための作品『Traced Overhead』(1996年)などで見られる高い技巧とスタイルの多様さで、当初から注目を集めた。最初に大きな成功を収めた作品は、20世紀スコットランドの貴族、アーガイル公爵夫人マーガレットのスキャンダルにまつわる物語を描いたオペラ『Powder Her Face』(1995年)。その後は、ニューヨーク・フィルハーモニックのために書いた『 America: A Prophecy 』(1999年)をはじめとする、オーケストラのための委嘱作品でも注目を集めていく。2004年には、シェイクスピアの戯曲に基づくファンタジックなオペラ『The Tempest』を、自身の指揮によってロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスで上演した。その後もアデスは多彩な創作活動を続けている。2016年には、ルイス・ブニュエルの映画をオペラ化した『The Exterminating Angel』を、自ら指揮してザルツブルク音楽祭で披露。2018年には、キーラ・ナイトレイ主演の映画『コレット』のスコアを手掛けた。近年におけるアデスの主要プロジェクトとしては、ダンテの『神曲』に基づく、「Inferno(地獄篇)」「Purgatorio(煉獄篇)」「Paradiso(天国篇)」の3部で構成されるバレエ音楽『Dante』を挙げることができる。