アデス:Alchymia


イギリスの作曲家Thomas Adèsが2021年に完成させた『Alchymia』は、従来のクラリネットよりもさらに低い音を出せるバセット・クラリネットをメインとする20分ほどの室内楽曲。この作品は、中世の錬金術とエリザベス朝時代のロンドンの世界が作品のコンセプトになっている。最初の楽章では、クラリネットの下降する4音のモチーフに繊細な弦楽器が絡みながら、ほんのわずかに憂鬱な感情を呼び起こし、第2楽章の「The Woods So Wild」は、幻想的な急降下と疾走感がシェイクスピアの『夏の夜の夢』を連想させる。続く「Lachrymae」では、ジョン・ダウランドのリュート音楽が表現する悲しみに満ちた瞑想を提示する。そして『Alchymia』は、中世で庶民に人気のあったストリートソングと近代の十二音技法を融合させた「Divisions on a Lute-song」で終結を迎える。『Alchymia』を初演したクラリネット奏者のマーク・シンプソンとQuatuor Diotimaは、この初録音にも確かな手応えを感じているかのようだ。
2023年10月13日 4トラック、23分 ℗ 2023 2023 Orchid Music Ltd