イタリアの巨匠リッカルド・ムーティが80歳を過ぎてなお「ヴェリズモ」(市井の人々の日常生活を描く)オペラで活気あふれる演奏を聴かせる。マスカーニの著名な1幕もの(レオンカヴァッロの『道化師』と一緒に、2本立てオペラ(“Cav and Pag”と呼ばれる)として上演されるこの作品は、シチリアの村娘(サントゥッツァ)が、かつての恋人トゥリッドゥに復讐するため、トゥリッドゥの浮気相手の夫アルフィオに告げ口する物語。嫉妬で半狂乱になったアルフィオは、決闘でトゥリッドゥを殺してしまう。2020年2月に収録されたこのライブコンサートでは、シカゴ交響楽団がムーティに忠実に寄り添い、雄弁に演奏する。有名な「間奏曲」では、この曲が驚くほど静かであることを気付かせるが、それは激情して復讐心に燃える、最終小節のための何かに備えているかのようだ。Piero Prettiの輝くようなテノールは、呆れるほどに熱を上げるAnita Rachvelishvili演じるサントゥッツァと、恐ろしく野卑なLuca Salsiのトゥリッドゥに挟まれ、アルフィオへの同情を強く誘う。
作曲者
オーケストラ
テノール
メゾソプラノ
指揮者