キャロライン・ショウの作品は、一見シンプルなメロディとコードパターンで作られた音楽のような印象を与えるが、聴くたびに豊かな意味を浮かび上がらせ、リスナーをゆったりとした気持ちにさせてしまう。本作では、フランスの変幻自在のアンサンブルI Giardiniが、独奏そして5人の奏者のための6曲を心優しく奏で、深いリスニング体験へと駆り立てる。最も新しい作品「The Wheel」(2021年)や、チェロと植木鉢という愉快な組み合わせによる「Boris Kerner」では、旧友との会話のように、昔の思い出や突然差し込む言葉、蛇足などを交えながら展開していく。「Gustave Le Gray」では、ショパンの魔法のような「Mazurka in A Minor」をモチーフに、ショウの印象的なブロックコードによって作品が徐々に変容していくのが、David Violiの極めて繊細な演奏によって見て取れる。また、トーマス・タリスの影響を感じる「In manus tuas」では、Pauline Buetの独奏チェロが哀愁を見事に表現している。