輝くような音色とリズムに対する絶妙な感覚を生かした豊かな表現で、メンデルスゾーン姉弟の楽曲に新鮮な響きをもたらしている。気鋭のピアニスト、イサタ・カネー=メイソンが4作目のアルバムで取り上げたのは、古典派の形式美とロマン派の感情表現を融合した偉大な作曲家フェリックス・メンデルスゾーンと、彼が敬愛していた姉であり、近年その音楽に光が当たってきているファニー・メンデルスゾーンの作品だ。 本作の冒頭を飾るのはフェリックスが1831年に書いた『ピアノ協奏曲第1番』。「信じられないほどエキサイティング。最初から最後まで一気に飛んで行くかのようです」とイサタ・カネー=メイソンはApple Music Classicalに語る。その言葉通り、オーケストラによる短い序奏の後、彼女のピアノが疾風のように登場すると、音楽は一気に高く舞い上がる。「この曲を演奏する前にはいつも深呼吸をします。一度始まってしまったら息つく暇もありません」 ファニー・メンデルスゾーンによる『ソナタ イ長調 “イースター・ソナタ”』は、1970年代初頭に再発見されるまで百数十年もの間失われており、その後も長きにわたってフェリックスによる作品と誤認されていた。「私はこのアルバムを作るに当って、ファニーの手紙や、彼女の人生について書かれた本をたくさん読んで、ファニーのことを深く知ろうとしました」とイサタ・カネー=メイソンは言う。その入念な準備は、繊細で歌心にあふれた魅惑的な演奏という成果を生んでいる。 他にもこのアルバムでは、フェリックスによる劇音楽『夏の夜の夢』からの曲のラフマニノフとモシュコフスキによるソロピアノ編や、名歌曲「Auf Flügeln des Gesanges(歌の翼に)」のリストによるソロピアノ編、『無言歌集 第6巻』からの2曲、そして、ファニーによる「ノットゥルノ ト短調 」も楽しめる。
作曲者
ピアノ
指揮者
オーケストラ