- エディターのおすすめ
- ショパンからオペラまで。気鋭のピアニストが夜に魅力を増す曲をセレクト。
イサタ・カネー=メイソン
バイオグラフィー
ピアニストのイサタ・カネー=メイソンは、1996年に生まれ、イギリスのノッティンガムで育った。彼女はカネー=メイソン7人兄弟姉妹の長女であり、2015年にそのうちの6人がテレビ番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出演して一躍注目を集める。そしてその翌年には、弟のチェリスト、シェクが、1978年から続くBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーをアフリカ系の音楽家として初めて受賞。シェクとイサタはDecca Recordsと契約した。イサタは2019年、クララ・シューマンが1833年に14歳で作曲し、その2年後にフェリックス・メンデルスゾーンの指揮で初演されたピアノ協奏曲を収録したアルバムでデビューを果たしている。彼女は続く2作目のアルバム『Summertime』(2021年)でも、昨今高まっている多様性を尊重する動きに応えるように、バーバーやガーシュウィンの作品を中心に、アメリカの女性作曲家エイミー・ビーチやアフリカ系イギリス人の作曲家Samuel Coleridge-Taylorの作品を含むプログラムを披露している。ビーチによる「By the Still Waters」(1925年)は印象派的な静けさが特徴的な佳曲であり、Samuel Coleridge-Taylorによるリリカルな即興曲「Impromptu No. 2 in B Minor」は、出版されてから100年以上を経てリリースされたこのアルバムで初めてレコーディングされた。またカネー=メイソン家の兄弟姉妹は幼い頃から一緒に演奏してきており、バーバーとラフマニノフによるチェロとピアノのための作品を収録したシェク・カネー=メイソンとイサタのデュオアルバム『Muse』(2021年)で聴ける息の合った演奏は、長い時間をかけて築き上げられてきた互いの音楽性に対する深い理解のたまものであるといえる。