ハンガリー人のエルンスト・フォン・ドホナーニが作曲した『Variations on a Nursery Song(童謡主題による変奏曲)』は、実質上ピアノ協奏曲と呼べるもので、「きらきら星」の旋律が生き生きと変奏されていく作品。イサタ・カネー=メイソンがロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団、首席指揮者Domingo Hindoyanと共演し、さっそうとした演奏を繰り広げる。特に作品の持ち味である豊かなウィットと魅力を損なうことなく、時にマーラーのような激しさを感じさせるのが印象的だ。「きらきら星」へのもう一つのオマージュは、モーツァルトの"Ah, vous dirai-je Maman"による12の変奏曲。カネー=メイソンのエレガントなピアニズムはこの作品の光と影をとらえ、特に最後から2番目の変奏曲の物悲しさを繊細に表現する。さらにはドビュッシーの『Children’s Corner』とシューマンの『Kinderszenen』という子ども時代を懐かしむような作品を取り上げ、ドビュッシーでは音楽への優しい愛情を、シューマンでは穏やかなノスタルジーを陽気さと詩情あふれる感性で描いている。