1988年夏のコンサートで録音されたこの演奏は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と小澤征爾の密接な関係と固い絆を物語っている。ベルリンでヘルベルト・フォン・カラヤンに師事した小澤は、本作の録音当時、若い頃の彼のトレードマークだった情熱的なエネルギーに満ちていた。しかしここでは、ブルックナーの音楽における微妙な時間の伸び縮みも見事に生かされている。 ブルックナーの『交響曲第7番』は、ベルリン・フィルのメンバーたちの心の中に深く刻まれてきたレガシーであり、オーケストラはこの歴史的なスコアに1世紀以上の長きにわたって親しんできた。小澤の心のこもった解釈は、この作品の歌心あふれる旋律にスポットライトを当てるものだ。彼は、散漫に聞こえてしまいかねない冒頭の楽章と終楽章のパッセージから、なだらかで美しい曲線を描くメロディを紡ぎ出し、第2楽章では壮大さと優しさの理想的なバランスを保っている。
作曲者
指揮者
オーケストラ