『Head Space』と名付けられたザ・キングズ・シンガーズによるプロジェクトの第1弾である本作『Candlelight』の根底にあるのは、人々が抱く共に歌いたいという不変の願いと、一緒に歌うことがパフォーマーとリスナーの両方にもたらす異次元の安らぎだ。またこのアルバムの背景にあるのは、古代の聖務日課の一つで、一日の終わりに静かに黙想するひとときであるコンプリン(夜の祈り)であり、ここには、中世ラテン語のアンティフォナ「Salve nos Domine」(“主よ、われらを救いたまえ”の意味)や修道院長で作曲家だったヒルデガルト・フォン・ビンゲンによる神秘的な聖歌「O Euchari」から、アルヴォ・ペルト、ジュディス・ビンガム、アンナ・ソルヴァルドスドッティルといった現代の作曲家たちが祈りを込めて書いた心に響く合唱曲まで、幅広い楽曲が収められている。一方、私たちの気を散らすものや、押し付けがましい音と雑念に満ちたこの世界で、ジョン・ケージによる「4′33″」の“沈黙”は、今この瞬間に起きていることに心を向けるように聴き手をいざなう。そして、その静寂の中から浮かび上がるロバート・パーソンズによる「Ave Maria」の豊かな響きは、まるで春に咲くかれんな花のようであり、ザ・キングズ・シンガーズの見事なハーモニーがその花を優しく育んでいく。
アンサンブル
コルネット
作曲者