ブラームスは、自身のクラリネット三重奏曲の独奏楽器をヴィオラに置き換えた別バージョンを自ら書いた。名ヴィオラ奏者のタベア・ツィンマーマンは、チェリストのジャン=ギアン・ケラス、ピアニストのハヴィエル・ペリアネスと共に録音した本作で、このヴィオラ版の魅力を存分に引き出すべく、説得力ある演奏を披露している。緩徐楽章では3人が詩的な対話を繰り広げる中、ツィンマーマンのヴィオラが高音域で詩情豊かに歌う。また“Andantino grazioso”の第3楽章は優美さと繊細さが宿る演奏となっていて、荒々しい終楽章と鮮やかな対比を成している。 このヴィオラ版の試演でソリストを務めたのは、ブラームスの友人、ヨーゼフ・ヨアヒムだった。このアルバムにはヨアヒムの手によるヴィオラとピアノのための作品『Hebräische Melodien nach Eindrücken der Byron'schen Gesänge Op. 9』も収録されていて、ここでのツィンマーマンはこの楽曲が持つ沈思的な趣の本質に迫る演奏を聴かせている。ロベルト・シューマンとクララ・シューマンもブラームスの親しい友人だった。本作にはロベルトによる『3つのロマンス Op. 94』とクララによる『3つのロマンス Op. 22』が収録されている。これらの作品をヴィオラとピアノのために編曲したのはツィンマーマン自身であり、彼女の繊細かつロマンチックな解釈が、この興味深いプログラムの流れを美しく整えている。
作曲者
ヴィオラ