『Hold These Truths』を形作っているのは、分断、そしてその対極にある、共通する認識と相互の信頼から生まれる団結である。アメリカのピアニスト、ララ・ダウンズは、祖国の未来に希望を見いだすため、2年をかけて国内を縦横に旅し、あらゆる背景を持つ人々と対話を重ねた。そして、そこから得たインスピレーションを基に、アメリカの不変の精神を捉えた新旧の楽曲を集めたアルバムを作り上げた。クラシックピアニストであると同時に、自らを文化活動家と位置づける彼女は、このアルバムで多様な音楽を素材に豊かなタペストリーを織り上げている。彼女の深い思いに満ちたこのアンソロジーは、しばしば崩壊寸前の試練にさらされながらも、なお“生命、自由、幸福の追求”という不可侵の権利をうたった、アメリカ独立宣言における誓いによって支えられてきた理想主義についての物語だ。
ダウンズはアメリカの物語の最新章を「危機と混乱、不確実性と不安定、分断と荒廃」の物語だと見ている一方で、本作ではこの国の創造的自由が持つ持久力について、驚くほど楽観的なメッセージを提示している。『Hold These Truths』は、スティーヴン・フォスターの「ハード・タイムス・カム・アゲイン・ノー・モア」(ここではジャズトリオ、9 Horsesとの魅惑的な共演で披露される)、ハワード・ハンソンの「Joy」、伝統曲「In the Sweet By and By」といった、開かれた心と誠実さにあふれた楽曲に敬意を表している。また本作は、これらの歌やメロディが持っている、人々が互いの違いを脇に置いて音楽を通じてつながり、対等な立場で音楽を聴く体験を共有するように促す力もたたえている。そのメッセージは、プエルトリコ生まれでボストンを拠点とする作曲家、エドマー・コロンによる「Welcome」、ロシア系ユダヤ人移民の息子であるエリー・ジーグマイスターによる『American Sonata』からの「Lusty and Joyful」、そして、チャールズ・アイヴズが古いアフリカ系アメリカ人のスピリチュアルを哀切な趣で再解釈した作品「In the Mornin’」のJoseph Brentによる胸に迫る編曲版によってさらに増幅されている。