アーロン・コープランド

多くの作曲家の中でも、特にアーロン・コープランドは、そのきらびやかで、情感豊かで、壮大な音楽性によって、20世紀アメリカのクラシック音楽に対する一般的な認識を決定付けた作曲家だといえるだろう。ユダヤ系リトアニア人の移民の息子として1900年にニューヨークで生まれたコープランドは、13歳でピアノのレッスンを受け始めた。Rubin Goldmarkに音楽理論と作曲を学んだ後、1921年にパリに渡り、伝説的音楽教師Nadia Boulangerにとって最初のアメリカ人の弟子の一人となる。『Music for the Theater』（1925年）や『Piano Concerto』（1926年）などの初期の作品は、ストラヴィンスキーにインスパイアされた新古典主義とジャズ的な気ままさを融合させたものだった。大恐慌時代のコープランドの音楽は、『Piano Variations』（1930年）に顕著なように、一時的に、より抽象的でモダニズム的な方向へと向かった。しかし、現代音楽の作曲家と聴衆の間にある隔たりを憂慮した彼はすぐに軌道を修正する。そこからのコープランドは、「El salón México」（1936年）、『Billy the Kid』（1938年）、『Rodeo』（1942年）、『Appalachian Spring』（1944年に振付師兼ダンサーのMartha Grahamのために作曲)をはじめとする、メキシコのダンスホールやカウボーイのダンスミュージック、シェーカー教徒の賛美歌などのエッセンスを取り入れた、人気の高いオーケストラ作品を生み出していった。第2次世界大戦中には、『Lincoln Portrait』（1942年）や『Symphony No. 3』（1944～1946年）といった強い愛国心を感じさせる作品を書いている。戦後は再び前衛的なトレンドを取り入れるために奮闘するも、実りは大きくなかった。『12 Poems of Emily Dickinson』（1949～1950年）、オペラ『The Tender Land』（1954年）といった一連の声楽を伴う作品に続いて、荒涼とした雰囲気のセリエル音楽「Piano Fantasy」（1957年）や「Connotations」（1962年）を作曲している。ハリウッド映画の音楽も書き、音楽にまつわる著書も遺しているコープランドは優れた音楽教師としても活躍し、他の作曲家たちの支援にも力を注いだ。1990年に90歳で亡くなった彼は、まさに20世紀アメリカのクラシック音楽を象徴する存在だった。