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- 1992 · ユージン・オーマンディ、フィラデルフィア管弦楽団
ユージン・オーマンディ
バイオグラフィー
希代のテクニシャンであり、音の魔術師。それがオーマンディのすべてと言う者もいれば、それ以上の存在だったと評価する者もいる。ハンガリー出身で主にアメリカで活躍した指揮者でヴァイオリニスト、ユージン・オーマンディは、1899年にブダペストでブラウ・イェネーとして生まれた。彼は、幼い頃からヴァイオリニストとしての驚異的な才能を発揮し、1921年に移り住んだアメリカでも当初はヴァイオリニストとして活動するが、数年後には指揮者に転向する。1936年にレオポルド・ストコフスキーが率いるフィラデルフィア管弦楽団に共同指揮者という形で加わったオーマンディは、その2年後の1938年には単独で同楽団の音楽監督に就任した。彼はその後42年間にわたってこの職を務め、退任後も1985年に亡くなる少し前まで同オーケストラを指揮し、録音も行っている。フィラデルフィア管弦楽団と長く濃密な時間を過ごしたオーマンディは、自身の指揮のテクニックとトレーナーとしての手腕によって、同楽団をベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と比較されるのが当たり前になるほどのオーケストラに育て上げたのだ。一方、一部の批評家や指揮者は、オーマンディの指揮には卓越した技術や美しい響き以上のものがあるのかという疑問を呈した。しかし、後期ロマン派音楽を得意としながら、ヨーロッパやアメリカの現代音楽も擁護した彼を支持する者の中には、ロマン派の大御所であるラフマニノフや、現代音楽の旗手であったシェーンベルクといった作曲家たちがいたのだ。