- エディターのおすすめ
- 2009 · アレクサンドル・タロー
エリック・サティ
プレイリスト
バイオグラフィー
エリック・サティは、19世紀と20世紀の変わり目のフランスにおける最も革新的な作曲家であり、前衛音楽の世界におけるとりわけ重要な人物の一人であると見なされている。1866年、ノルマンディーに生まれたサティは、名門パリ国立高等音楽院を退学させられたが、それ以前の18歳ごろから短いながらもひらめきに満ちたピアノ曲を書くようになり、それらの作品によって名声を高めることになる。一方で、フランスのキャバレーミュージックの雰囲気と古い教会音楽のモードを組み合わせたこれらの作品は非常に独創的であったにもかかわらず、同時代に同じパリで活躍したクロード・ドビュッシーやモーリス・ラヴェルといった、サティほど風変わりではない作曲家たちの陰に隠れてしまったきらいもある。また、今日では、1888年作曲の「Gymnopédie No. 1」が、サウンドトラックやCM、チルアウト系のプレイリストの常連となったことで突出して広く知られてしまったが故、このモンマルトルの眼鏡の作曲家はいわゆる“一発屋”だったという誤解も生まれている。しかし、1910年代と1920年代のサティの作品には、さらなる広がりのある、そしてより反主流的な創造性とイマジネーションが表れており、これによって彼は後に続いた作曲家たちのヒーローとなった。ギリシャの哲学者プラトンの神秘的なテキストによるカンタータ『Socrate』、ジャン・コクトーやパブロ・ピカソとコラボレートした未来派バレエ『パラード』、BGMの元祖ともいわれる『Musique D'ameublement(家具の音楽)』といった作品は、ジョン・ケージの不確定性の音楽や、新古典主義、ミニマリズム、さらにはアンビエントミュージックやニューエイジなど、その後の実験音楽のムーブメントを先取りするものだった。