- エディターのおすすめ
- 近代フランス音楽を語る上で欠かせない作曲家。教育者としても活躍し、多くの名作曲家を輩出した。
ガブリエル・フォーレ
- Matthias Weiß、 Maria-Theresa Freibott
バイオグラフィー
ベルリオーズ、シューマン、ショパンから先鋭的なシェーンベルクの登場に至る時代を生きたガブリエル・フォーレは、“誠実、明瞭、完璧な表現”をスローガンにしていた。1845年にフランス南部の町、パミエで生まれたフォーレは、幼いころに教会音楽家としての訓練を施される。そして、パリのサン・シュルピス教会やマドレーヌ寺院でオルガニストを務め、最も有名な作品の一つが『Requiem』(1887年に作曲が開始され、その後10年以上の間に度々改訂された)だとしても、私たちの記憶に残るフォーレの姿はオルガニストとしてのそれではない。彼のピアノ曲の中には13の夜想曲と同じく13の舟歌があり、これらのうち初期の楽曲はサロン風の魅力を漂わせているのだが、後期にはより複雑でより深いハーモニーを持つものへと進化している。フォーレの耳が次第に聞こえにくくなったことと関係しているともいわれるが、様式の強化が見られるのだ。ラヴェルにも愛された彼の歌曲はフランスのメロディの伝統の礎となっている。またデュオのためのソナタからピアノ四重奏曲、ピアノ五重奏曲まで、豊かな室内楽曲は、すぐに彼と分かる都会的で洗練された、たおやかな響きを持っている。唯一の弦楽四重奏曲はダークで内省的な作品で、1924年にフォーレが79歳で亡くなる直前に完成された。