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- 1966 · エンニオ・モリコーネ
エンニオ・モリコーネ
バイオグラフィー
映画音楽の世界で、彼ほど一聴してそれと分かるスタイルを持った作曲家はおそらく他にいないだろう。1960年代に“マカロニ・ウエスタン”のサウンドトラックで有名になったエンニオ・モリコーネだ。1928年にローマで生まれたモリコーネは、トランペット奏者だった父によって音楽の道へといざなわれた。マルチな才能に恵まれたモリコーネは、1950年代の後半以降、ジャズバンドでトランペットを演奏する一方、ラジオのための音楽やイタリアのポップアーティストたちの楽曲のアレンジャー/作曲家として活動した。そして、幼なじみのセルジオ・レオーネが監督し、イタリア製西部劇を世界に知らしめることとなったクリント・イーストウッドの主演映画『Per un pugno di dollari (A Fistful of Dollars)(邦題:荒野の用心棒)』の音楽を担当したことで状況は一変する。モリコーネは、いわゆるハリウッド黄金時代のサウンドトラックからの影響や西部劇の音楽のテイスト、そしてエモーショナルで独特の雰囲気を持つ自身の作風を組み合わせた音楽を『Per qualche dollaro in più - For A Few Dollars More(邦題:夕陽のガンマン)』『Il buono, il brutto, il cattivo (The Good, the Bad & the Ugly)(邦題:続 夕陽のガンマン)』『C'era una volta il west (Once Upon a Time in the West)(邦題:ウエスタン)』などの作品に添え、それらの楽曲は映画そのものに匹敵するほどの人気を得ることになったのだ。モリコーネはその後も、ホラーやSFまでをも含む幅広いジャンルの映画のために、それぞれの要求に応じたアプローチを取りながら、さまざまなスタイルの音楽を作曲していった。『Cinema Paradiso(邦題:ニュー・シネマ・パラダイス)』に寄せたいくつもの美しい旋律は世界中で広く愛され、多くのカバーも生んでいる。モリコーネの大ファンであるクエンティン・タランティーノは、『Django Unchained(邦題:ジャンゴ 繋がれざる者)』と『ヘイトフル・エイト』という二つの西部劇で憧れの作曲家に曲を書いてもらい、思いをかなえた。モリコーネは2020年に91歳でこの世を去ったが、彼の名曲は人々の心に残り続けていくだろう。