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- 2017、4トラック、41分
交響曲第2番 ニ長調
着手から20年以上の歳月を経て、苦心の果てに『交響曲第1番』を完成させたブラームスは、続く二つ目の交響曲をわずか数か月で書き上げている。これはまさに、ブラームスが、長年背負っていたベートーヴェンの先を行く交響曲を書かなければならないというあまりにも大きな肩の荷を、ようやく下ろして楽になったということを物語っているのだろう。その心情を象徴するかのように、1877年に作曲され、同年末に行われたウィーンでの初演も大成功となった彼の『交響曲第2番』は、比較的穏やかな気分に包まれている。第1楽章の冒頭部分で聴かれるやや不穏な雰囲気を漂わせるトロンボーンの和音や、同楽章の中間部におけるエネルギーの猛烈な高まりは、水面下にダークな影があることをほのめかすが、概してこの交響曲は、日の光にあふれた牧歌的な傾向を示している。ホルンが奏でる穏やかな第1主題の露払い役を務めるチェロとコントラバスによる3音の音型は、壮大な広がりを持つ第1楽章の多くのテーマを生み出す基本的な動機となっている。この楽章のもう一つの特徴は、リッチなスコアによるヴィオラとチェロのための叙情的な第2主題であり、その始まりの旋律はあまりにも有名な「Wiegenlied Op. 49 No. 4 Lullaby(ブラームスの子守唄)」をほうふつとさせる。チェロによる心を揺さぶるメロディで幕を開ける第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ」は、次第に不穏な空気に包まれていき、コーダの前に力強いクライマックスを築き上げる。舞曲の優雅なリズムによって導かれていく第3楽章は、テンポの変化や音の強弱によるコントラストを含みながらも、終始親しみやすさと爽やかさを漂わせている。活力と肯定感にあふれた終楽章はブラームスの音楽の中でもとりわけ陽気な楽曲となっており、この交響曲は一点の不安も感じさせない意気揚々としたエンディングを迎える。