クリスティアン・ベズイデンホウトはこれまでに数々のアルバムでモーツァルトの鍵盤のための作品を当時の楽器であるフォルテピアノで奏で、その音色の魅力を広く伝えてきた。そんな彼がこのアルバムでフォーカスを当てたのはハイドンの楽曲。本作でもまずリスナーの耳を捉えるのはこの古楽器の独特のサウンドだろう。楽器職人アントン・ワルターが1805年に製作したモデルを復元したフォルテピアノは、鈴の音のように美しい高音とゴージャスな中音、そして豊かな低音を持っている。フォルテピアノの第一人者であるベズイデンホウトは滋味深い音色を余すところなく生かしながら、モダンピアノで演奏される時とはひと味もふた味も違うハイドンの楽曲の魅力を鮮やかに描き出している。
作曲者
フォルテピアノ