英国バロックの作曲家ヘンリー・パーセルの『The Fairy Queen』はシェイクスピアの喜劇『真夏の夜の夢』に基づくセミオペラで、1692年にロンドンで初演された。猥雑なシーンで奏でられる楽曲から優雅で甘やかなアリアまで、パーセルの最も素晴らしい音楽を存分に堪能することができる作品である。元来セミオペラは俳優たちの芝居に音楽が付随する形式だが、本作でのガブリエリ・コンソートと豪華なソリストたちは、豊かな経験に裏打ちされた巧みな表現によって演劇的なニュアンスをも楽曲自体に語らせている。名ソプラノ、キャロリン・サンプソンによる「See, Even Night Herself is Here」や「O Let Me Weep」といったアリアをはじめ究極の美に浸れる場面が無数にちりばめられ、同時にみだらな内容の歌曲「Now the Maids and the Men are Making of Hay」や快活な間奏曲など、シェイクスピアらしいお楽しみもたっぷり用意されている。