アメリカのソプラノ歌手Julia Bullockのソロデビューアルバム『Walking in the Dark』では、サミュエル・バーバーの「Knoxville: Summer of 1915」が最も重要な作品として位置付けられている。彼女の熱のこもった独自の表現は、バーバーが音楽に託した心地よいノスタルジーと実存的な憧れの混在を浮き彫りにする。Bullockの選曲は多彩でどれもが魅力にあふれ、ニーナ・シモンなどが録音する「Brown Baby」では優しさと憤怒の念それぞれを表現し、Connie Converseの歌「One by One」では、冷静さと辛辣(しんらつ)さが混じった複雑な感情を歌い、ゴスペル調の「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」ではBullockの言葉に対する鋭い反応が際立つ。そしてサンディ・デニーの「Who Knows Where The Time Goes?」を熱唱し、アルバムは息をのむようなフィナーレを迎える。