このアルバムに収録されているのは、公民権法が成立する数十年も前、クラシック音楽の世界でアフリカ系アメリカ人の音楽家が成功を収めることが極めて難しかった時代に、彼らによって書かれた作品だ。ウィリアム・リーヴァイ・ドーソンの『Negro Folk Symphony』とスティル(William Grant Still)の『Symphony No. 1 “Afro-American”』は、それぞれに黒人霊歌やゴスペル、ブルース、ジャズなどのエッセンスを含んでおり、George Walkerによる弦楽の小品『Lyric for Strings』は穏やかな美しさの中に心に染みる郷愁を漂わせる。自身もアフリカ系アメリカ人であるロイヤル・スコティッシュ管弦楽団の副指揮者Kellen Grayは、これらの楽曲が「アフリカ系アメリカ人の豊かな音楽や文化のエッセンスがこれほど詰め込まれているにもかかわらず、その文化に属する指揮者や演奏家による録音がまだあまりないのです」と、Apple Musicに語る。そんなGrayへの深い理解と共感をにじませるロイヤル・スコティッシュ管弦楽団の演奏を収録した本作は、アフリカ系アメリカ人の作曲家による楽曲の再発見が進む時代において、特別な意義を持つアルバムの一つとなるだろう。