2024年3月にライブ録音されたこのコンサートでは、伝説的なピアニスト、マルタ・アルゲリッチが、ラヴェルによる輝きにあふれた名作『ピアノ協奏曲ト長調』を、鮮やかでありながらも、穏やかに、かつ内省的な趣で奏でている。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、ズービン・メータによる指揮の下でアルゲリッチの演奏と一体となり、またメータは主要な楽団員たちから、明確な個性を持ちながらも決して過剰な表現にはならない、絶妙なソロを引き出している。 アルゲリッチは、とりわけ広く愛されている第2楽章の冒頭で、よどみなく流れるような独奏の中にあふれんばかりの優しさと愛情を込める。数分後に現れる一連の木管楽器によるソロは、まるで最初からピアノと一緒に演奏されていたのかと思わせるほどの自然さで、アルゲリッチの独奏からシームレスにつながっていく。 聴衆から熱烈な拍手を受けたアルゲリッチは、アンコールで2曲、ソロピアノのための作品を披露した。彼女は、ラヴェルの「水の戯れ」をきらめくような響きで奏で、バッハの『イギリス組曲第3番 ト短調』の「Gavotte I-II」を均整の取れた、かつ軽快な指使いで演奏している。 オーストリアのブルックナーによる『交響曲第7番』は、1884年にライプツィヒで初演されて好評を博し、この遅咲きの作曲家の出世作となった。ズービン・メータは、ウィーン・フィルの繊細な演奏を通して、この作品への深い思いを表現している。第1楽章でのメータは、冒頭の軽やかな優美さから、意気揚々としながらも大げさにはなり過ぎないエンディングへと、説得力をもって導いていく。第2楽章は、ブルックナーが自身の音楽的ヒーローであるワーグナーの死を予感する中で書かれたものだ。その陰うつでありながら高貴な雰囲気は、弦楽器の低音の豊かな響きと見事なコントラストを成している。 スケルツォの第3楽章は、厳粛な雰囲気に包まれている。その中にスキップするようなリズムを持つ印象的なフレーズがあり、それが音楽に爽快さを加味しながら、楽章をクライマックスへと導いていく。終楽章は高貴な趣だが、メータとウィーン・フィルは決してそれを誇張しない。楽章の途中で金管楽器の音が突然激しく噴出する場面は、実に力強い演奏となっている。
作曲者
指揮者
オーケストラ
ピアノ