「この作品をきっかけに、フルートの魅力を知っていただけたらうれしいです」。一つ一つの楽曲にたっぷりの愛情を注ぎ込むフルートと、小編成のために書かれたオリジナルのアレンジが、耳慣れた映画音楽の名曲に新鮮な輝きをもたらしている。本作は、数々のコンクールでいくつもの賞を受賞した実力と類いまれなスター性で、2022年のデビューアルバム『de l’amour』以来、大きな注目を集めているフルーティストCocomiの第4作。ファーストとセカンドでは広く親しまれているクラシックの名曲を、そして前作ではカプースチンやマルティヌーといった作曲家たちの楽曲を取り上げてコアな音楽ファンを喜ばせた。「クラシックの中でもコアな作曲家にフォーカスした前作。今作は、誰もが一度は聴いたことがあるだろう曲を集めた作品を目指しました」と、CocomiはApple Musicに語る。そんな彼女がテーマに選んだのは、映画音楽。『ティファニーで朝食を』や『カサブランカ』から『ラ・ラ・ランド』まで、幅広い時代の映画から選ばれていて、日本映画『魔女の宅急便』からの名曲も含まれている。 また、繊細なアレンジはもとより、Cocomiの下に集った演奏家たちのパフォーマンスも見事なものだ。全13曲中11曲を占めるピアノとのデュオで伴奏を務めるのは牛牛と朴 沙彩。そして、フルートとストリングスによって奏でられる「雨に唄えば」「映画『シンドラーのリスト』のテーマ」の2曲には、ヴァイオリンの東 亮汰、ヴィオラの田原綾子、チェロの佐藤晴真が参加。いずれもCocomiと世代が近い気鋭の演奏家たちが、絶妙なプレイを披露している。彼らのサポートを得たCocomiは、すべての瞬間において、メロディの妙味とフルートの魅惑的な響きをリスナーとシェアしたいという思いに満ちた演奏を聴かせてくれる。ここでは、本作のいくつかの楽曲を本人に解説してもらおう。 ローズ(映画『ローズ』) (このアルバムは)幼い頃から観てきた映画から印象に残っている曲を選んでいますが、例外なのが「ローズ」です。家で母がよく歌っていた曲で、私の子供時代を鮮明に思い出させてくれます。 タイトロープ(映画『グレイテスト・ショーマン』) 『グレイテスト・ショーマン』から、大ヒットした主題歌ではなく、全てのディテールを話せるほど大好きなシーンで歌われる「タイトロープ」を選んでいます。前半は切なく、不安を描いているのですが、後半になるにつれ、苛立ちや怒りに変わっていくのが、ストレートに感情を表していて好きです。歌詞をどうフルートの音色や発音で表現できるかを考えながら、演奏しました。 この素晴らしき世界(映画『グッドモーニング, ベトナム 』) 福嶋(頼秀)先生の編曲は、新鮮でおもしろいです。イントロに鳥のさえずりが入っていたり、 作品全体を紹介するものになっています。
フルート
ピアノ
ヴィオラ
ヴァイオリン