ヨハン・セバスティアン・バッハの『Brandenburg Concertos(ブランデンブルク協奏曲)』は、1721年にブランデンブルク辺境伯クリスチャン=ルートヴィヒに献呈された6作から成る協奏曲集。バッハの作品の中でも特に独創的で、作曲技術が高度に成熟したことを示すものの一つであり、魅惑的な旋律と鮮やかな色彩、そして器楽演奏の妙技の饗宴が繰り広げられる。そして、この協奏曲集に関して、このアルバムで聴けるものほど深い理解に基づいたパフォーマンスはないだろう。2009年にロンドンとパリでレコーディングされた本作には、イギリスの指揮者ジョン・エリオット・ガーディナーが1978年に結成した古楽器アンサンブル、イングリッシュ・バロック・ソロイスツによる、光輝に満ちた演奏が収録されている。ガーディナーは、比較的大規模で複雑な第1番と第2番のみで指揮を執り、第3番から第6番についてはあえて指揮をせず、演奏をアンサンブルのメンバーたちによるセルフディレクションに委ねている。その結果、リーダーのKati Debretzeni、トランペット奏者のNeil Brough、リコーダー奏者兼フルート奏者のRachel Beckett、ハープシコード奏者のMalcolm Proudなど、このアンサンブルのレギュラーメンバーが中心となり、活気と優雅さと正確さを兼ね備えた見事なパフォーマンスを成し遂げた。ガーディナーは陰の立役者として、自然発生的な独創性と、持ち前の人柄の良さ、そして天性のセンスで、この演奏を成功へと導いたのだ。
作曲者
指揮者
アンサンブル、オーケストラ