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- 2017 · チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、イルジー・ビエロフラーヴェク、プラハ・フィルハーモニー合唱団
イルジー・ビエロフラーヴェク
プレイリスト
バイオグラフィー
現代の指揮者の中で、イルジー・ビエロフラーヴェクは、誰よりもチェコの交響楽を広めることに大きく貢献し、それらの音楽に対する演奏家や聴衆の理解を深化させたと言っていい。1946年にプラハで生まれた彼は、音楽においても国民性を重要視する共産主義体制の下で育つ。若い頃に受けたチェコの優れたチェリスト、ミロシュ・サードロによるレッスンも、そうした価値観に基づくものだった。プラハ音楽院で学んだ後は、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、次いで在籍したプラハ交響楽団では1989年のビロード革命まで首席指揮者を務めている。そして、プラハ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を短期間務めた後には私費を投じて自らのオーケストラ、プラハ・フィルハーモニアを創立した。その後、BBC Symphony Orchestraの首席指揮者に就任した彼は、2007年には非英語圏の指揮者として初めて「Last Night of the Proms」 を指揮する栄誉に浴している。ピエロフラーヴェクの指揮は威厳にあふれたもので、大げさな演出は控えたものだったが、ドヴォルザークやヤナーチェク、マルティヌーといった母国の作曲家による楽曲の録音は、内に秘めた温かみと説得力が強い印象を与えるものとなっている。チェコの巨匠は、最後となった2017年のコンサートでドヴォルザークによる深遠なる挽歌(ばんか)である『Requiem』を指揮した1か月後に亡くなった。