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- 2015 · アリソン・バルサム、ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団、スティーヴン・クレオバリー
ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団
バイオグラフィー
ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団は、その歴史の深さや現代のメディアの力など、さまざまな要素が重なったことによって長きにわたって存続し、繁栄してきた。20世紀の後半にはイギリス国教会の大聖堂や大学の男性合唱団の憧れの的となり、また毎年開催される「A Festival of Nine Lessons and Carols(9つの聖書日課とクリスマスキャロル)」の放送や魅力的なディスコグラフィ、さらには頻繁に行われる世界各地への演奏旅行によって、素晴らしい合唱の世界をあまたの人々に届けている。彼らの唯一無二のサウンドは、輝きと優しさにあふれた少年合唱団の歌声と、厳選された大人の学部生たちの素晴らしいパフォーマンス、そして、キングス・カレッジの礼拝堂の豊かな音響から生まれる。そして彼らが秀逸なのは、その崇高な音世界を本拠地のチャペルではない場所でも再現できることだ。同合唱団は、1441年にヘンリー6世がケンブリッジのキングス・カレッジを設立した時に誕生。聖人だったこの王が、カレッジのチャペルで大人の男性と少年のグループが礼拝で歌うことを日課にするように命じたのだ。その後の彼らは、資金不足に悩まされたり、宗教改革や内戦に翻弄されたりして長い衰退期を過ごすが、1876年にArthur “Daddy” Mannが音楽監督に就任すると、運気が上昇していく。Mannは53年に及んだ任期の間、1918年に前述の「A Festival of Nine Lessons and Carols」を開始するなど合唱団の活動を進化させ、ボリス・オルド、デイヴィッド・ウィルコックス、スティーヴン・クレオバリーをはじめとする後継者たちのための確固たる地盤を築いた。2019年にはキングス・カレッジでオルガンを学んだDaniel Hydeが音楽監督となり、パンデミックによるロックダウンを乗り越え、現代の作曲家による作品や国教会の伝統以外の楽曲も取り入れることで、レパートリーに新味を加えている。