- エディターのおすすめ
- 1973、31トラック、1時間 50分
ラ・ボエーム
SC67
舞台は1830年ごろ、クリスマスイブのパリ。輝く星空の下、カルティエラタンの通りは大いににぎわっている。そして、凍えるほど寒い屋根裏部屋には、芸術家を志す4人の若者たち。金はないが、笑顔だ。プッチーニは『La bohème(ラ・ボエーム)』(1896年)でその非凡な才能を生かし、これらの若者たちの様子を見ているあらゆる世代の観客に「この場所にいたい」と思わせてしまう。詩人のロドルフォは、暖を取るために自分の原稿すら燃やさなければならず、家賃も払えない。しかし、それがどうしたというのだ。若く自由な彼らのうち、少なくとも1人は、きっと夜が明けるまでに恋に落ちるだろう。プッチーニは、ロドルフォと肺を病んだ針子のミミとのはかない縁の、喜びに満ちた始まりと悲劇的な結末を、臨場感と優しさにあふれた表現で描き出している。『La bohème』が、ハンカチを手放せないほどの涙を誘う史上最高のオペラの一つである理由はそこにあるのだ。またこの作品は複数の物語に彩られており、プッチーニは、画家のマルチェッロと奔放なムゼッタとの、別れたりくっついたりの恋や、パリの人々の華やかで活気に満ちたストリートライフをも、非常に温かく、のびのびと、そして、「Che gelida manina(冷たい手を)」をはじめとする、輝くようなメロディの絶え間ない流れとともに表現し、すべてのオペラの中でも特に高い人気を誇る作品を作り上げたのだ。