イングランドの王政復古の時代に上演されたヘンリー・パーセルによるセミオペラ(芝居とオペラを合せたような舞台作品の形式)は、ロンドンの社会に君主制主義者への支持を呼び戻す要素を盛り込んだものだった。歌手/指揮者のリオネル・ムニエと彼が率いる古楽アンサンブル、ヴォクス・ルミニスの演奏は、セミオペラの代表作であるパーセルの「アーサー王」が、1691年の初演当時にどれほど特別な響きを持つ作品であったかを改めて伝えてくれる。第3幕の"Frost Scene"における凍えるような寒さの表現は、当時として革新的なものであったはずで、本作でもひんやりとしたサウンドで奏でられている。第5幕の陽気な酔っぱらいの歌"Your Hay It Is Mow’d"では、David Leeの歌が豊かな表情を見せ、また、透き通るような美しさという点においては、"Fairest Isle"はすべてのオペラのアリアの中でも屈指の名曲といえるだろう。