モルドバ出身のバイオリニスト、Patricia Kopatchinskajaが2007年にレコーディングした実質的なデビュー作は、トルコ出身のピアニスト、ファジル・サイとのデュオアルバムだった。それ以来共演を重ねてきたこの鬼才コンビが15年ぶりに録音したのが本作『Janáček - Brahms – Bartók』だ。Kopatchinskajaによる卓越した技術に裏打ちされたソウルフルな演奏は、ヤナーチェクの『Violin Sonata, JW VII/7』の冒頭のわずか数秒間でリスナーを引き込む。すぐに現われるサイのピアノの、民族楽器ツィンバロンを思わせる響きも実に印象的だ。ストーリーテラーとしての2人の豊かな表現力が存分に発揮された第2楽章は、聴き手の心の隅々にまで優しく染み渡っていく。続くブラームスの内省的なソナタは、躍動感と輝くような音色をもって奏でられる。そしてバルトークの複雑で雄弁なソナタを圧倒的な説得力で聴かせてくれる、最終楽章のスリリングなインタープレイは、このアルバムのハイライトといえるだろう。
作曲者
ヴァイオリン
ピアノ