ブラームスとストラヴィンスキーのバイオリン協奏曲をカップリングするのは、一見奇妙なことに思えるかもしれない。シンフォニックな広がりを感じさせる第1楽章の壮大さと、秘めたる思いを静かに語るかのような第2楽章の美しい旋律、そして、第3楽章の民謡風のメロディとリズムの力強さが印象的なブラームスのコンチェルトが、音楽史上最もロマンティックな協奏曲であることは疑うべくもない。一方、そのおよそ50年後に書かれたストラヴィンスキーのコンチェルトは全く別世界のものだ。こちらは、ブラームスのロマン派らしい豊潤さとはかけ離れた、“生きのいい”新古典主義の作品で、18世紀の形式の中にモダニストの香りを漂わせている。ここでは、現代最高峰のバイオリニストの一人であるヒラリー・ハーンのさえた音色によるダイナミックかつ繊細な表現を、創立者であるネヴィル・マリナーが指揮するアカデミー室内管弦楽団が見事に引き立てており、ソリストとオーケストラが一体となって生み出す鮮やかな音世界が、2つのコンチェルトを自然に結びつけているのだ。間違いなく、ハーンのベストなアルバムの一つと言っていいだろう。
作曲者
室内オーケストラ
ヴァイオリン
指揮者